EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「何?そんな怖い顔で睨みながら僕のプリマドンナを誘えると思ってるの?出直してきなよ」
数秒間、バチバチと見えない火花を飛ばし合う。
少しして静理の方が先に目をそらした。
「はぁ……」
重苦しい溜息をこぼしてから席を立つ。
静理はそのまま無言で居間から出て行った。
「あっ、静理さん……!」
まさか行ってしまうとは。
まだ質問の答えはもらっていないのだ。
小鳥は静理の後を追いかけるべく、慌てて居間を飛び出した。
そんな小鳥を見送ってからフェオドールがポツリと呟く。
「……珍しいな」
「何が?」
ルカが首を傾げると、フェオドールは落ち着いた声でこう言った。
「怒ってる静理の表情が、いつもと違った」
「そう言えば、俺達に怒る時はニコニコしながらムチでぶっ叩いてくるよな。……もしや、さっきのが静理のガチギレ!?」
ルカのガチギレ発言にカロンがニヤリと笑む。
「へぇー。ガチでキレてたのか静理。ウケる」
「お前ら、うるさいんだけど。静理のガチギレとかどうでもいいし。むしろ迷惑」
今の今まで静かにノートパソコンと向き合っていたオーレリアンが会話に入り込んできた。
ハッキリ迷惑と言い切った末っ子の感情を逆撫でするように白魔が笑う。
「ハハッ、余裕ない静理とか面白いね。もっとからかいたくなるよ」
「だから、迷惑だって言ってるだろ!この中で一番暴力的なあいつがキレたとして、責任もって止められる奴いるわけ!?」
「いるんじゃない?一人だけ、ね」
小鳥が出て行った扉を見つめて、白魔は意味深に笑った。