EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「聞いたことないかな?ジル・ド・レはジャンヌ・ダルクの戦友だった男だよ」
「ジャンヌ・ダルクって、あの!?世界史に出て来る…!」
さすがにジャンヌ・ダルクの名前は有名だ。
「そう。バートリー伯爵夫人は…まあ、歴史的に何か偉大なことをしたってわけじゃないね。酷い残虐行為で伝説化した女性だよ」
「残虐行為…?」
眉根を寄せる小鳥に静理は苦笑した。
「彼女は若い娘達から血をしぼり取って飲んだり、彼女達の血で満たした浴槽に入って水浴びならぬ血浴びをしたらしい」
「血を…!?どうして、そんなこと…!」
「若い少女の血が自分の若さや美貌を保つために必要だと考えたからさ」
サラリと言って静理は続ける。
「ジル・ド・レも血生臭い話が残ってる。多くの子供達を拷問にかけて殺した、というね。こちらは錬金術に没頭した結果らしい」
危険な話の連続に、小鳥は何と無く嫌な予感がした。
「……まさか…ドラキュラの人も…何かあるんですか?」
「察しがいいね。その通りだよ。ヴラド三世は戦争や理想の国造りのために沢山の人間を残虐に処刑したことで悪魔と呼ばれたんだ。祖国を守るために奮闘した英雄なのに、酷い言われようだよね。彼の場合はドラキュラとして小説のキャラクターにまでなってしまったから可哀相だ」