EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「なんだか、ごめんね小鳥ちゃん。まさかこんな場所であいつに会うとは思わなくて」
「いえ、静理さんが謝ることなんてないですよ。気にしないで下さい」
ジェラルドの店が視界に入らなくなってから申し訳なさそうに話しかけてきた静理。
彼に手を引かれ、小鳥は広場の端っこを歩く。
(これ、持ってきちゃったけど、良かったのかな…?)
未だ手にある小ビンを見つめれば、中の液体がゆらりと揺れた。
これを飲めば、子供に戻れるらしい。
(ちょっと、見てみたいけど……)
静理が喜んでこれを飲んでくれるとは思えない。
小鳥がそんなことを考えながら歩いていると、静理が急に立ち止まった。
彼の視線も小ビンに注がれている。
「それ、扱いに困るなら俺が捨てておこうか?」
「その……静理さん、飲んでみませんか?」
「遠慮したいかな」
ニッコリ笑顔で即答された。
そして静理はこう続ける。
「子供になったところで俺は俺だから。結局、何も変わらないよ」
「……甘えたくは、なりませんか?」
「そんな器用なこと、できないんじゃないかな。誰かに甘えたことも、甘やかされた記憶もないからね」
否定的な言葉を自ら言っておきながら、静理の表情はどこか寂しげだ。
そんな彼をジッと見つめてから、小鳥は思いついたことを口に出した。