EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「なら、私が!私が、甘やかします!」
「えっ」
「静理さんが甘えるんじゃなくて、私が勝手に甘やかします。全力で静理さんのこと、甘やかしてみたいです」
「それって、そんなに意気込むことかい?」
「ダメ、ですか……?」
不安そうな眼差しを向けられ、静理は考える。
(俺に優しくしたところで、小鳥ちゃんには何もメリットがないはず)
だからこそ、悪意もない。
それならば。
「君になら……少しくらいなら、ありかもしれない」
他人に気を許さず生きることが普通。
弱さを見せることなんて命取り。
それが人間相手なら尚の事。
そのはずだ。
けれど、小鳥は静理にとって今のところ唯一妥協できる相手である。
少しくらいなら、と思わせられた。
(小鳥ちゃんと過ごしていると、今までの俺が少しずつ崩れていく)
崩れゆくものは何だろう。
それが全て無くなった時、自分は何を思うのか。
(なぜだろう。怖いくせに、期待する自分もいるなんて……可笑しな話だ)
自嘲しながら小鳥から小ビンを受け取る。
今この場で飲むことに小鳥が何やら慌てているが、自分の気が変わる前に静理は液体を飲み干した。