EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
それから、どれだけ吸われただろう。
体が解放され、小鳥の膝がガクンと折れる。
地面に手と膝をつき、小鳥はふらつく感覚がおさまるのを待った。
(いっぱい、吸われちゃった……)
本当に遠慮がなかった。
体と心を落ち着かせようとゆっくり息を吐き出す。
(あれ……?)
目の前にあったはずの静理の靴が、気がつくと視界から消えていた。
ハッとして小鳥が上向くと、またもや静理は歩き去っていく。
(静理さんっ……見失っちゃう!)
休んでいる暇はない。
小鳥は立ち上がってフラフラしながら彼の後を追い掛けた。
「待って、ください!」
必死に呼び掛けながらついて行く。
すると何度目かで静理がピタリと立ち止まり、振り返った。
「お前、本当にしつこいな」
それだけ言うと再び歩き出す。
しかし静理の歩くスピードが少しだけ遅くなったのは小鳥の気のせいではないはずだ。
小鳥はチャンスとばかりに彼の隣に並んだ。
「どこに行くんですか?」
「裏」
「うら……?」
「さっきの広場……あの様子からして、今日は創世祭だろ?だから、裏の創世祭に行く」
「創世祭に、裏とかあるんですか?」
「裏の奴らが集まるから、俺達が勝手にそう呼んでるだけ」