EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「そんなの、お前さんじゃねーか」
「は……?何を、言ってるんだ……そんなわけっ」
「オメェが弾避けるのに、その嬢ちゃん使ったんだろ。ついさっきのことだぜ?覚えてねぇのか?」
「俺、が……?」
記憶にない。
けれど、静理の中で納得している自分もいた。
(昔の俺なら、やってる……)
誰かを盾にして銃弾を避けるくらい、生き抜くためなら普通にやる。
振り返る嫌な思い出には、そうやって難を逃れた場面が数多い。
(ということは、まさか……中身まで昔の俺に戻っていたのか……?)
愕然とする。
目の前に深い絶望色の闇が広がったようで、静理は怒りも悲しみも後悔も感じられず、息をするのも忘れた。
涙すら、出てこない。
ただ虚無のみが存在し、それはすなわち小鳥だった。
(俺が、殺した……?)
冷たい小鳥の頬を、そっと撫でる。
(俺が……奪った……?)
理解できない。
信じられない。
これは悪い夢だ。
(いや……現実だ。俺の人生は、悪夢こそが現実だった)
それは今も続いているらしい。
フラフラと、小鳥を抱き上げ歩き出す。
どこへ向かうともなく路地に入り、静理は闇の街を彷徨った。