EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
足取りは危うく、瞳は虚ろ。
やがて誰もいない裏道で、静理は壊れた人形のように崩れた。
「小鳥ちゃん、小鳥ちゃんっ……返事を、してくれ」
小鳥を抱き締めたまま地に膝をつき、何度も何度も呼び掛ける。
「お願いだ……また、俺を……呼んで」
彼女の声で「静理さん」と呼ばれるのが好きだったと、今更気づく。
けれど、この際はもうーー。
「なんでもいい……君の、声が聞きたい」
ポタリポタリと、小鳥の顔に静理の涙がこぼれ落ちる。
やっと、涙が心に追いついた。
「うぅ……っ、クソッ……っぁああああ"あ"!!!!!」
路地裏に静理の絶叫が響く。
慟哭は止まず、暗闇を支配した。
なぜ自分はこんなにみっともなく泣くのだろう。
なぜこんなにも苦しいのだろう。
静理は自問した。
(俺はっ……)
彼女のことがーー。
(そうだ、俺は……)
胸にストンと落ちてきた言葉は、単純なものだった。
「好きだ……好きだよ、小鳥ちゃん。君のことが……好きだっ」
初めて告げた愛の言葉に返事があるわけもなく。
静理は自嘲しながら、そっと小鳥の唇にキスをした。