EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【静理編】
「小鳥ちゃん……」
どうしても涙が止まらない。
表情が歪む。
また小鳥の頬に涙が落ちた、その時。
小鳥の目が、大きく見開いた。
「なっ!?」
死んだはずの小鳥の目が、キョロキョロと動く。
(これは、どういうことだ!?小鳥ちゃんは……)
息をしていないはず。
心臓が止まったはず。
命を、失ったはず。
(まさかっ)
目にするのは初めてなので確信はない。
だが、思いつくことは一つだ。
(黄泉帰り……!?)
先程までピクリとも動かなかった体が、静理の腕の中で身動ぐ。
焦点が合わないのか、小鳥は静理を見ているようで認識できていない。
「小鳥ちゃん!?」
名を呼べば、僅かに反応があった。
小鳥の手が静理の顔に伸ばされ、涙に濡れた頬を触る。
その手はゆっくりと静理の顎から首へ滑り、彼の温もりを確かめた。