EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
溜息を吐きつつ、ガタンと乱暴に椅子を引く。
少女は小鳥の右隣に座った。
「ん?キミ誰?」
可愛い顔が間近に迫ってきてドキッとする。
小鳥は自己紹介しようと口を開いたが――。
「僕の妻だよ。近寄らないでくれるかな。ヴォルフ」
白魔に先を越されてしまった。
「ハクマの妻?ふーん……名前は?」
「小鳥です」
「ボクはヴォルフ。よろしくね、コトリ!」
キュッと手を握られる。
(え?“ボク”…?それにヴォルフって、男の子みたいな名前だけど…)
考えているうちに頬へチュッと口づけられた。
相手はもちろん可愛い顔で無邪気に微笑んでいるヴォルフだ。
「きゃ!?」
「え?挨拶のキスだよ?そんなに驚く?」
真っ赤になる小鳥。
すると白魔が立ち上がって背後から小鳥を抱きしめた。
「ヴォルフ!僕のプリマドンナは奥ゆかしいんだよ。挨拶でも軽々しくキスするな」
睨みつけられてキョトンとするも、ヴォルフはすぐ笑い出した。
「あははっ!ハクマ焦ってるでしょ?ボクが男の子だから。だーいじょーぶ。ボク、ルカくんにしか興味ないし」