EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
安心させるように背中を撫でてあげながら考えていると、今度は扉から料理人を思わせる白い服を着た男性が怒りの形相で現れた。
彼の右手には大きな包丁が握られている。
「ひっ!?」
思わず悲鳴を上げる小鳥に反応し、女性も迫る刃物を見て目を見開く。
わけのわからない奇声を発して金髪女性が駆け出そうとした瞬間――。
「Warte!(待て!)」
ガシッと男性が彼女の首を捕まえた。
「Nein, Nein, Nein!!(やめてやめてやめて!!)」
「Du Scheusal!(こいつめ!)」
包丁を振り上げる男性。
小鳥は咄嗟に目をつぶった。
「いやぁあああ!!!!」
女性の絶叫に小鳥の悲鳴が重なる。
黙って堪えるなんて無理で、声を出してしまった小鳥。
しかしそのおかげで白魔が気づいた。
「小鳥っ!?」
すぐに飛んできた彼をそっと視界に入れる。
「は、く…ま、さ…」
「小鳥!!」
女子トイレだとか気にすることなく白魔は怯えている小鳥に駆け寄った。