EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
視界の端で、殺された金髪女性が引きずられていく。
小鳥が被害に遭わなかったことにホッとしつつ白魔は最愛を抱きしめた。
「小鳥…あれは食糧になる運命だったんだ。君には関係ないことさ。忘れてしまえばいいよ」
「あ……っ…」
忘れられるのだろうか。
(無、理…だよ)
「あの表情」は、決して忘れられないだろう。
悲しくて、ポロポロと頬に涙がこぼれていく。
その涙を死への恐怖と勘違いした白魔は優しく囁いた。
「大丈夫。誰にも君を殺させやしないよ。他の誰かが君を殺すなんて堪えられない…。君を殺していいのは、僕だけさ」
甘い毒が含まれていそうな口づけが落とされる。
(いつか私も、殺されるのかな…白魔さんに…)
キスを受け入れながら、白魔にならば殺されても恨まないだろうと考える。
(けど…白魔さんは、どうして私を殺したいんだろう…?)
好きだから。
愛しているから殺したいと彼は言う。
――僕に愛された者は、死ぬことによって僕の完全なる愛を得るんだ
(死ななければ、私は…白魔さんの完全な愛を、得られないの…?)
彼を受け入れて、こんなにも愛情を捧げているのに、それは余りにも理不尽に思われた。