EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
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涙が落ち着き、カフェを出る。
小鳥の肩を抱いたまま歩き出した白魔は、そろそろランベルトの屋敷に戻ろうと提案した。
先程彼女が受けた精神的ダメージを考えて彼が出した結論だ。
「屋敷でゆっくり休もうよ。うるさい連中はいるけど、苦痛はないはずだから」
「はい…。ありがとうございます」
「妻を気遣うのは当然さ。ほら、足元に気をつけて」
ちょっとした段差だったが白魔に手を取られた。
そのままショッピングモールを後にし、車のところまで歩いていく。
すると、その僅かな距離で小鳥は偶然にも知り合いを発見してしまった。
「あれ?あそこに倒れてるのって…氷河さん!?」
路上で行き倒れ状態になっている魔冬氷河。
地味な黒髪だが、綺麗な顔立ちと泣きぼくろで誰だかすぐにわかった。
「なんでこんなところに魔冬氷河?あ、小鳥!ほっときなよ」
倒れている氷河に駆け寄った小鳥を白魔も追いかける。
「だって、このままにしておけませんよ。意識ないみたいですし…」