EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
「全く…いい迷惑だよね。道のど真ん中で寝てるなんてさ。ほら、起きなよ」
氷河の頭を軽く足先で突く白魔。
すると彼の目が開かれ、赤い瞳がボンヤリと二人に向けられた。
「ん……あ…」
「氷河さん!大丈夫ですか?」
怪我は見当たらないので倒れた原因は何なのか、小鳥が直接氷河に尋ねようとした、その時。
「……月那」
「え?」
小鳥を見て月那と呼んだ氷河が、グイと小鳥の胸倉を掴み引き寄せた。
「氷河さん?きゃっ…ん…!?」
氷河の唇が小鳥の唇に重なる。
(なっ…!?勘違いしてる!?私は月那ちゃんじゃ……あれ?この香り…)
小鳥があることに気づいた丁度その時、白魔が動いた。
小鳥を氷河から引き離し、すかさずナイフを突き付ける。
「君、よっぽど死にたいんだね?僕のプリマドンナを誘惑しようとするなんてさ」
顔にナイフを向けられても未だボンヤリしている氷河。
さすがに白魔も妙だと感じたようだ。
首を傾げて挑発する。
「エリート軍人のくせに隙がありすぎるんじゃない?ほらほら、刺しちゃうよ?」
「白魔さん!待って下さい!氷河さん酔ってます!」
「は?」
「お酒の香りがしました…。たぶん」