EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
「え?氷河さん、わからないんですか…?」
「ん?どういう意味だ?」
ちびっ子氷河に睨まれて怯んでしまう。
とその時、クスクス笑いながらヴォルフが教えてくれた。
「小さくなると記憶も後退しちゃうみたいだよ?昨日、オトウ様が飲んでターイヘンだったんだから」
(記憶が後退…?つまりそれって、私のこともわからないってこと…?)
チラッと白魔を見るとバチリと目が合った。
「あっ!ごめんなさい、お姉さん」
小鳥の服を掴んでいた手をパッと離し、照れた様子で俯く白魔。
(可愛い!!…ってそうじゃなくて!やっぱり私のことわかってないよね白魔さん!)
普段の白魔なら小鳥を見て「お姉さん」とは絶対言わないだろう。
「おい、お前は人間だな?名前はなんだ?」
今度は氷河に服をクイクイ引っ張られた。
(氷河さんは小さくなっても変わらないなぁ…)
こんな状況になってもおどおどせず、しっかりしている。
「小鳥です」
「そうか。俺は魔冬氷河だ。人間は嫌いじゃない。よろしくな」
そう言って、にこやかな笑みをくれる。
どうやら人間嫌いになる前の彼に戻ってしまったようだ。