EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
「紅茶でもご用意致しましょうか」
あまり広くはない部屋の中央に置かれている白いテーブルと椅子に客人を導いてからダンクラートが尋ねる。
小鳥を椅子に座らせ自分も席についた白魔が「お願いします」と答えたその時。
ふわり、ふわり――。
白地に金彩が美しいマイセンのティーセットが宙に浮いてゆっくりとテーブルに近づいてきた。
「ひゃ!?」
「うわっ」
驚く二人を見てダンクラートが上品に微笑む。
「ああ、ありがとうエリザベータ」
ティーセットは静かにテーブルへ到着した。
(もしかして、幽霊の奥さん!?)
運んできてくれたらしい。
「わざわざありがとうございます」
白魔が誰もいない空間に向かって礼を言った。
姿は見えないが、小鳥も倣って感謝を述べる。
するとなんだか周りの空気がほんわかしたような気がした。
(エリザベータさんが微笑んでくれたのかな?)
小鳥の心もほんわかしたところでゆったりティータイム。
気を遣ってダンクラートとエリザベータが退室しようとした時だった。
赤いカーテンをそっと開いてエマがやって来た。
「失礼致します。大旦那様、お客様がいらっしゃいました」
「おや、どちら様かな?」
「クラヴィエ家の方々です。白魔様のご兄弟とうかがいました」
「は?まさか来たの!?あいつらが!?」
目を丸くして白魔がガタンと椅子から立ち上がる。
小鳥も驚きを隠せずに口をあんぐりと開けたのだった。