EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
荷物を置いた後、彼らは屋敷の居間に招かれた。
そこは客間ではなく、ライヒナーム家の人々が寛ぐプライベートルームだ。
(あ、この部屋はチェシャ猫だ!)
扉の形はアリスシリーズのチェシャ猫。
室内の置物や絵画も猫で統一されているが、全てがチェシャ猫というわけではない。
小鳥が目にしたカーテンはシャム猫柄だった。
「騒がしくなりそうだね。僕達は最上階へ戻ろうか」
小鳥を抱いて居間を離れようとした白魔だったが、カロンにガシッと腕を掴まれる。
「おっと、逃がさねーぜ」
「小鳥がどっかいったらわざわざドイツまで来た意味ないよ!」
ルカも白魔の服を引っ張った。
「君達って…本当に僕を苛立たせる天才だよね」
ナイフを投げつけてやりたい衝動を抑えて白魔は小鳥に向き直る。
「僕のプリマドンナ、どうする?君に従うよ」
「私は…座っていられれば平気なので、ここでも良いですよ」
「じゃあメスブタが移動することないじゃん」
「ここにいると良い」
オーレリアンとフェオドールにも留まるよう言われ、居間でゆっくりすることが決定。
「ハァ…この場に頭痛の種のランベルトがいないことが救いかな」
仕事で今日は出掛けると言っていたランベルトを思い出し、白魔はちょっぴりホッとする。