EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】

兄弟が全員揃うと小鳥が口を挟む隙もない。


(皆さんモテるんだな~)


心の中で呟いていると、ダンクラートがふむと納得した様子で提案した。

「生者との縁がないならば、死者から恋人を選ばれてはいかがかな?」

「は?」

カロンが「何このオッサン正気かよ」という目でダンクラートを見遣る。

しかし屋敷の主はカロンの視線など気にもせずニコニコと続けた。

「私は死者と話すのが趣味でしてね。ここにいる今の妻との出会いも霊との会話がきっかけで…」

「えっ、まさか奥さん幽霊なの!?」

誰も座っていない椅子を示したダンクラートを見てルカが声を上げる。

「その通り。ここに座っているのが妻のエリザベータだよ」

「何も…見えませんが…」

静理が躊躇いがちに言うとダンクラートは微笑した。

「我が妻の魂はとても儚い。あまり強い霊力を持っていないもので…。またそこが愛らしいのだけれど」

「つまり、強い霊なら僕達にも見えるってことか」

白魔が独り言を漏らす。

するとオーレリアンが真剣な表情でこう言った。

「ねえ、本当に死者と話せるの?事実なら僕の母様を呼び出して見せてよ」


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