EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
温もりは感じられないが、想いは伝わった。
フェオドールがフッと微笑む。
と、その時。
『ねえ…わたしのカロンはどこ?』
小鳥が座るソファーのすぐ後ろから別の女性の声が聞こえた。
(誰!?)
振り返る小鳥。
すると、くせっ毛な長髪が可愛らしいお人形のような少女が目に入った。
幽霊なのだろう。
輪郭はハッキリしているが彼女も透明だ。
『あんたの息子がいるんだもの。わたしのカロンだっているはずよ。どこなの!?』
「あんた」と言って少女はマリアンヌを指差した。
刺すような敵意が剥き出しだ。
(この人、もしかしてカロンさんのお母さん…!?)
目や輪郭が似ているのですぐわかる。
幼い顔立ちをしているが、彼女がカロンを生んだ母親、シャルロットなのだろう。
「カロンなら逃げたよ~」
ヴォルフが居間の出入口を示す。
チェシャ猫の扉は開いていた。
『カロ~ン!ど~こ~?わたしのカロ~ン!!』
直ぐさまシャルロットが廊下へ飛び出す。
彼女はふわふわと浮きながら出て行ってしまった。