EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
ピクリと反応して静理が笑みを崩した。
表情が険しくなる。
「黙れアバズレ。誰のせいでそんな生活するはめになったと思ってるんだ」
『自業自得でしょ?あたしの子として生まれた時点で人生終わってんのよ。あんたも』
艶やかにクスクス笑う静理の母親――優子。
子供の母としてよりも自由奔放な女として生きることを選んだ彼女にとって、息子はどうでもいい存在なのだ。
だから静理が食事にありつけなくて店のブラッディーボトルを盗んだり、血を吸い尽くして人間を殺すことになっても、それは全て彼女には関係のないことだった。
「お前の店を襲わなかっただけ有り難く思え、人間」
『そりゃどーも。んふふ、ヤダわ~。シズちゃんの冷たい目サイコ~!抱いてあげよっか?』
「ゲスが。触るな」
静理の言葉遣いがどんどん荒くなっていく。
と丁度その時、バタバタとカロンが居間に駆け込んできた。
カロンの顔は青い。
「助けてフェオ。壁抜けとかズリー手使ってあいつがどこまでも追っかけてくる。ストーカー怖いわマジで」
頼れる兄、フェオドールの前でカロンは小さく丸まった。
縮こまったところで図体のデカさは隠せないが、カロンの心境はよくわかる。