EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】

本棚に書物を戻す静理を見つめながら小鳥は泣きたくなった。

つまりは服従させて自分を縛るための儀式だったのだ。


(白魔さん、そんなこと少しも教えてくれなかった…)


教えてくれていたら、たとえそれが服従をもたらそうとも、小鳥は今これ程悲しくはなかっただろう。

彼が黙っていた事実が、どうしても「騙された」という考えに行き着かせる。


「…どうして……教えてくれなかったの…?」


思わず呟かれた独り言を静理が丁寧に拾った。

俯いている小鳥の頭を慰めるように優しく撫でる。

「あまり知られたくなかったんじゃないかな…。人間に血を与えることは禁忌とされているからね」

「え…。いけないこと、なんですか…?」

「うん。こんな簡単な方法で人間を支配下におけるなんて、支配主義や軍学校の彼らが喜んで利用すると思わないかい?」

「あ…確かに」

「だから何百年も前に禁忌とされたんだよ。共存主義者達がその方法を闇に葬ったんだ」

彼によると、教科書や歴史書に服従の記述は載っているが、やり方は綺麗に消されているそうだ。

カロンやルカが詳しく知らなかったのはそのためらしい。


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