EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
静理に一蹴されムスッと頬を膨らませるカロン。
オーレリアンは呆れ、ルカは苦笑い。
そんな彼らをボンヤリ眺めていた小鳥だったが、やがてソファーから立ち上がりのろのろと退室した。
(なんか…疲れちゃったな)
普段通り過ごしているだけなのに、気が滅入る。
殺風景な自分の部屋に戻り、軽い溜息を一つ。
「あ……」
テーブルを見て声を漏らす。
殺風景ではなかった。
そこにはフェオドールからもらったピンクの薔薇が花瓶に活けて置いてある。
「フェオさん…」
テーブルに寄ると、薔薇の香りが鼻をくすぐった。
途端脳裏に蘇る、金色の髪。
ここにいないはずなのに彼から誘われているように感じるから不思議だ。
小鳥は壁に掛かっている等身大の鏡を見つめた。
仕掛け扉でもあるそれはフェオドールの花園に繋がっている。
――たまに、来てくれ。酷く疲れた時とか……癒されるから
彼の言葉をふと思い出し、小鳥はふらふらと鏡に近寄った。
疲れた心を抱えて少女が向かうのは、安らぎをくれる秘密の花園。