EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
堂々たる赤、上品な紫。
清楚な白に、優しいピンク。
細い小道を抜けて花園の中心へ行く間、小鳥は咲き乱れる薔薇の美しさを目で楽しんだ。
徐々に近づく青薔薇の空間。
白いテーブルと椅子があるそこには…。
「ん…?マドモアゼル?」
花園の主、フェオドールがいた。
「フェオさん…」
「どうしたんだ?……泣きそうな顔、してる」
「ちょっと疲れて…来ちゃいました。ご迷惑でしたか?」
「いや。むしろ嬉しい」
微笑みながらフェオドールは小鳥に椅子を勧めた。
立ったままでも良かったが、椅子を引かれてしまったので遠慮がちに腰掛けることに。
「フェオさん、腕…大丈夫ですか?」
「ああ。これくらい、かすり傷だ。君が気に病むことはない」
そう言われても小鳥は伝えたい言葉を口に出した。
「……ごめんなさい…。ヴァイオリンを弾く、大事な腕なのに…」
謝罪を耳にしてフェオドールの目が見開かれる。
心底驚いた様子で彼は尋ねた。
「なぜ君が謝るんだ?これは俺の自業自得なのに」