EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
視線をさ迷わせて黙り込んでしまった小鳥。
フェオドールは自身のデリカシーの無さを恨んだ。
「野暮な質問だったな。すまない…」
そして改めて感謝する。
「心配してくれてありがとう…小鳥」
椅子に座る彼女の顔を覗き込んで、吸い寄せられるように自然な動作で口づけた。
優しく重なった唇。
ひっぱたかれることも覚悟していたフェオドールだったが、小鳥から抵抗は見られなかった。
「今日は嫌がらないの?」
戯れを終えてから探るように囁く。
すると小鳥は空っぽの瞳でフェオドールを見上げた。
「私……わからなくなっちゃったんです。白魔さんのこと…」
苦しいのに叫べない。
泣きたいのに泣けない。
そんな表情をしている小鳥。
「信じたいのに…信じることが……怖いっ」
怯える心を素直に曝してくれた少女をフェオドールは憐れんだ眼差しで見つめ、愛おしげに撫でた。
彼の手の温もりが小鳥の頬を包み込む。
「なら、俺にする?」
静かに、けれど秘めやかなる情熱を宿して誘惑は紡がれた。
「俺なら君に、怖い思いなんてさせない」