EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】


 プライベートジェット専用のターミナルに到着したのは真夜中の一時前だった。

出国審査に時間がかかるかと思いきや、利用者は小鳥達しかおらず、しかもランベルトが顔パスだったためその「ご友人二人」も顔パスで通ってしまった。

「一応パスポート持って来たのに…意味なかったか」

「いやぁ~、すまないねホワイト・デビル。ワタシがよくここを使うものだから顔を覚えられてしまってねぇ」

「ようするに君は歩くパスポートってことか」

おしゃべりしながら十分とかからず機内へ。

初めて飛行機を間近で見た小鳥は思わず感嘆の声を上げた。

「これが飛行機…!おっきい!」

「そうかな?大型の旅客機と比べたらかなり小さいよ」

「しかぁし!馬鹿にすることなかれ!小さいけれど高性能なのさ!背はちっちゃいけど走りは一等賞ってやつだ。何たって途中休憩無しでフランクフルトまで行けるのだから!」

日本からドイツまでは約十二時間かかる。

それだけ長い時間をノンストップで飛行し続けることが可能なプライベートジェットはあまりないため、ランベルトは自慢げだ。


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