EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【白魔編】
楽しんでいる白魔に逆らえるはずもなく、小鳥は彼の左手にも触れた。
そろそろと漆黒を剥けば綺麗な長い指が視界に映る。
(白魔さんの指って上品だなぁ…)
男性なのに優美。
傷や手荒れもなく、まるでマネキンの手のようだ。
ドキドキしつつも、しげしげと眺めていた小鳥は白魔の視線に気づかなかった。
なかなか次へ進まない小鳥を見て痺れを切らした彼が囁く。
「君は焦らし上手だね」
小鳥が握るもう片方の手袋を掴んでカゴに放り込むと、白魔は意地悪げに命じた。
「さあ、次は上だよ。全部よろしくね」
「全部」を強調され、顔を熱くしながらゴクリと唾を飲み込む。
小鳥は怖ず怖ずと白魔の上着に手を伸ばした。
(あっ…白魔さん、背が高いから…)
ちょっと脱がせづらい。
羽織っているだけの上着はなんとかなるが、シャツのボタンを外すのに苦労しそうだ。