EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「あ、小鳥!あっちの方も人がスゴイよ!何かやってんのかな?行ってみよう!」

「え?あ、ルカくん?」

早足で歩き出すルカに、少し遅れて小鳥がついて行く。

前を歩くルカの背中を見失わないよう注意していた小鳥だったが。

「きゃ!」

「あっ、すみません!」

歩きながらスマホを見ていた女性とぶつかってしまった。

互いに謝りつつ、何ともないことを確認し、また小鳥が前を見る。

しかし。

「あれ……?ルカくん、どこ……!?」

ルカの姿は人混みに完全に消えていた。


(どうしよう……はぐれちゃったよ……!)


内心焦りつつ、キョロキョロと周囲を見回す。


(ルカくんが行こうって言ってたのは、向こうの方だったよね)


良く見れば、少し離れたそちらでも別のバンドが演奏を披露している。

近づくと、ノリの良いジャズが耳に流れてきた。


(ルカくんは…………あっ、いた!)


意外とすぐに発見できたのだが、問題が一つ。

はぐれたルカは女の子達に囲まれていた。

何やら会話が聞こえてくる。

「えぇ〜、ホントに芸能人じゃないんですかぁ?」

「金髪地毛?ハーフなの?」

次々と質問されるルカ。

たじろぎつつも彼は口を開く。

「いや、ハーフじゃないけど」

「えっ、マジで外人!?日本語上手くない!?」

「こっちに来た時、生活するなら現地の言葉でって父さんが……」

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