EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】


(そ、そうだよね。恋人でもないのに、ハートのペアとか、なしだよね)


一応フィアンセということになっているが、小鳥が一方的に選んだそれには小鳥自身が納得していなかった。


(ルカくんに好きな人ができたら、こういう関係も……きっと、終わりだよね)


今はまだ、自分から好きだと告白する勇気もない。

勝手にションボリしていると、ルカが別のキーホルダーを見せてきた。

「ねえ、これとかは?」

オレンジ色とピンク色のパズルピース。

パズルなので、磁石がなくても互いがピッタリ合わさる形になっている。

「小鳥が好きそうな色、でしょ?」

明るいオレンジ色を見て、小鳥はルカみたいだと思った。

彼を色で表すなら、きっとこれだ。

「はい!大好きです」

笑顔で答えれば、ルカが顔を背けて長い溜息を吐き出す。


(それはキーホルダーじゃなくて、俺に言って欲しいセリフ!!)


と、内心力強く叫んだルカだった。

また頬が熱くなる。

「じゃ、じゃあ、決まり!レジ行こう!」

照れ隠しのつもりでルカがスタスタと歩き出す。

「待って下さい、ルカくん!レジはあっちです!」

一人で逆方向に行ってしまうルカを、小鳥は慌てて追いかけた。


< 111 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop