EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】


 さて、買い物を済ませた二人が、店内にあるエスカレーターの近くを通った時のこと。

地下のゲームセンターからエスカレーターで一階に上がってきた女の子達とすれ違った。

「……あれ?櫻井さん?」

「え……?」

自分の苗字を呼ばれ、小鳥が女の子達の方に顔を向ける。

するとそこには、小鳥が地上で通っていた高校のクラスメートが三人いた。

その中の一人、ポニーテールの女の子が親しげに話し掛けてくる。

「櫻井さんだよね?うちのこと覚えてる?」

「え、えっと……」

覚えてはいるが、小鳥は積極的に友達を作るタイプではなかったため、彼女とあまり会話した記憶がない。

「クラス一緒になったけど、あんま喋んなかったから覚えてないかな?急に転校しちゃったよねぇ」

「そうそう!親の仕事の関係で、遠くに引っ越したんでしょ?今日は遊びにこっち戻って来たの?」

突然不登校になった理由は、小鳥が親の都合で遠くへ引っ越したから、ということになっていた。

本当のことなど言えるはずもなく、小鳥はただ彼女達の言葉に無言で頷く。


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