EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
9
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「ヴォルフが来たの?まさかランベルト付き?」
居間から出て行こうとする静理に白魔がすかさず尋ねる。
彼の問いは「お菓子を買ったの?おまけ付き?」と同じニュアンスだ。
「いや、ヴォルフ一人みたいだよ。連れて来るから、ルカはここにいてくれないかな」
ルカはペギーに巻き付くムチを解きながら、嫌そうに頷いた。
(ヴォルフって名前、どこかで聞いたような……)
小鳥が思い出そうとしていると。
「ヴォルフだけなら大丈夫か……。それじゃあ、ルカ。後は任せたよ」
そう言って白魔が書斎へ続くドアを開ける。
どうやら行ってしまうらしい。
それに便乗するように、オーレリアンも椅子から立ち上がった。
「あいつがここに来るなら僕も逃げる」
「逃げるって……別にオーレリアンは狙われてないじゃん」
ルカが恨めしげに末っ子を見遣る。
オーレリアンはフンとそっぽを向いた。
「あいつ、ウザイしうるさいし会話が面倒。同じ空間にいると疲れる」
廊下へのドアに手を掛けてから、オーレリアンは何を思ったのか、振り返って小鳥に視線を投げた。
「メスブタ。お前、ヴォルフと会うの?ルカの彼女として?」
「え……」