EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
大事なことなので「何もしない」を二度言った。
小鳥が安心して眠れるように、キスもハグも吸血欲求も、それ以上のオトナへの階段だって、のぼりたくても我慢する。
ルカの根性が試される苦難の時間となるだろうが、小鳥がいなくて悶々とするよりは、目の前にいて自戒する方がルカにとってはまだマシだ。
「ダメ……?」
小首を傾げるルカ。
既に一度、一緒の柩で眠った仲だ。
今回はルカから誘ってくれた、ということもあり、小鳥にはこの魅力的なお誘いを断る理由が見つからない。
「……いい、よ」
嬉しさと緊張がないまぜになって、声が掠れる。
小鳥が承諾すると、ルカは不安げだった瞳をキラキラさせて、側に置かれた自分の柩にいそいそと大好きな彼女を押し込んだ。
「ルカくん、そんな押さなくても、きゃっ!」
柩に寝転がったと同時に、背後からギュッと抱き締められる。
驚く小鳥とは反対に、ルカはうっとり夢見心地だ。
「あぁ……小鳥が、俺の柩の中にいる……幸せ……」
ルカはスンスンと小鳥の香りを嗅いでから、そっと耳元で囁く。
「何もしないって言ったけどさ……おやすみのキスは、許して」
甘い声と共に再び重なった唇は先程よりも熱く、小鳥の全身までをも火照らせる。
(もっと、ルカくんのこと……)
感じていたい。
それから、約束通り離れてしまったルカのことを、小鳥はほんの少し憎らしく思いながら瞼を閉じた。