EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
ペギーが送った信号は、ルカが持っている小型受信機を大音量で鳴らした。
これが鳴るということは、ペギーに設定した「小鳥に対して想定されるあらゆる危険」の中で、かなりヤバイ状況に小鳥が陥っているということだ。
自室でウトウトしていたルカは、ビービーと喧しく鳴る目覚まし時計よりも煩い受信機に叩き起こされ、直様ここへやって来た。
「あーぁ……ルカくん、来ちゃったね」
ペギーに見せていた怒りをスッと消し、ヴォルフが力の抜けた声を出す。
そんなヴォルフを注意深く見ていると、ルカの嗅覚が血の香りを捉えた。
「血の、匂い……?っ、小鳥!?」
ルカが柩の中に座る小鳥へと駆け寄る。
そしてすぐ、片腕に噛まれた痕があることに気づいた。
「これ、ヴォルフが……?」
他に有り得ない状況だろうが、取り敢えず確認すると、小鳥は小さく頷いた。
「小鳥の、血……」
ルカがジッと小鳥の腕の傷を凝視する。
滲み出る赤を食い入るように見つめるルカの瞳に、小鳥はどこか狂気めいたものを感じた。