EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

ペギーが送った信号は、ルカが持っている小型受信機を大音量で鳴らした。

これが鳴るということは、ペギーに設定した「小鳥に対して想定されるあらゆる危険」の中で、かなりヤバイ状況に小鳥が陥っているということだ。

自室でウトウトしていたルカは、ビービーと喧しく鳴る目覚まし時計よりも煩い受信機に叩き起こされ、直様ここへやって来た。

「あーぁ……ルカくん、来ちゃったね」

ペギーに見せていた怒りをスッと消し、ヴォルフが力の抜けた声を出す。

そんなヴォルフを注意深く見ていると、ルカの嗅覚が血の香りを捉えた。

「血の、匂い……?っ、小鳥!?」

ルカが柩の中に座る小鳥へと駆け寄る。

そしてすぐ、片腕に噛まれた痕があることに気づいた。

「これ、ヴォルフが……?」

他に有り得ない状況だろうが、取り敢えず確認すると、小鳥は小さく頷いた。

「小鳥の、血……」

ルカがジッと小鳥の腕の傷を凝視する。

滲み出る赤を食い入るように見つめるルカの瞳に、小鳥はどこか狂気めいたものを感じた。

< 160 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop