EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
「そう……あいつが……っ、俺だって、我慢してるのに」
まだ、一度も吸ったことがない小鳥の血。
大好きだから、と。
怖がらせたくないから、吸わないのだと。
自分の欲望にフタをしていたルカだが、兄弟でもないヴォルフにまで先を越され、理性が切れる。
ーー小鳥の血を、吸いたい
ルカは血が出る小鳥の腕をそっと触り、自分以外の男の牙痕に唇を寄せ、血と傷口を舐めた。
「っ、ん……」
小鳥の口から吐息が漏れる。
痛みは勿論、ルカの舌や唇の感触に反応して無意識に声が出てしまった。
(ルカくん、吸ってるの……?)
牙は立てられていないが、傷口がズキリとする。
ルカにされる行為は痛いのに甘く、あまり酷くしないで欲しいのに、もう少し続けて欲しいと願ってしまう誘惑に駆られる。
小鳥の肌にこの甘美な悦楽を覚えさせるかの如く、ルカは青い瞳をギラつかせて小鳥を好きに味わった。
「小鳥……俺の、小鳥……」
このまま、身勝手な欲望に流され、全てを貪り尽くしてしまいたい。
そんな衝動がルカを襲う。
(この血を……小鳥の、内側を……あいつも、味わった……。俺よりも先に、牙を、立てた……!)
そんなことーー。
(赦せないーー)
やがてルカは唇を離し、ふらりと歩き出す。
その顔から感情は読み取れなかった。