EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
憎い、憎い、憎い。
事実、ヴォルフはルカのことが憎らしくて仕方ない。
確かにルカはヴォルフにとってのヒーローで、カッコ良くて、憧れの存在だ。
けれど、それはつまり、じくじくした嫉妬心を生み出すことに繋がってしまう。
「初めて会った時、ルカくんに助けられて惚れたのは本当。だけどね、惚れたルカくんに対する憧れが強ければ強い程、嫉妬も大きくなるんだ」
ルカみたいに強い男になろうと努力したけれど、結局ケンカは弱いし、すぐ泣くし、女の子の格好をしている方がヴォルフは落ち着いた。
(そんなダメなボクだから、ルカくんの隣にいると更にダメさが浮き彫りにされちゃって、それを突きつけられるのが怖くて……ボクはルカくんの前で仮面を被るんだ)
女の子みたいに振る舞えば、弱いままの自分とルカを比較することなんてできなくなる。
(自分がルカくんになれないなら、ルカくんに求められる存在になりたかった。だからコイビト……ルカくん「ヤロウはお断り!」らしいから、カノジョにならなきゃって……)
女の子らしくするのは得意だから、ピッタリだと思った。
しかし、いつか振り向いてもらうんだと夢を見ながら、その夢が現実になることはないと、ヴォルフは心のどこかでわかっていた。
ルカと会う度、ルカにとって自分は「絶対に必要な存在」などではないと気づいてしまう。