EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
食事が終わると、兄弟達はバラバラと食堂から出ていく。
ヴォルフもルカに続いて食堂から出たところで、丁度トイレに向かう小鳥と鉢合わせた。
「あっ!コトリ〜!オハヨー!」
昨日まで無視を決め込んでいた相手に対し、とてもフレンドリーに駆け寄っていく。
笑顔を向けられた小鳥は目を丸くして立ち止まった。
(昨日、手当てをしてる時は、すごく落ち込んでるみたいで無言だったのに……)
もうテンションが高い普段通りのヴォルフだ。
「お、おはようございます、ヴォルフさん。傷は大丈夫ですか?」
「うん!こんなのあれだよ、舐めときゃオッケーってやつだよ!」
顔の傷をどうやって舐めるのかは謎だが、そこは空気を読んでスルーに限る。
とにかく、大丈夫らしい。
「それより、ボクのことはヴォルフって呼んで。敬語も難しいからダメ」
「え、でも……」
「決まりね!じゃあまた後で〜。チュース!」
にこやかに去っていくヴォルフ。
彼の親しげな態度に小鳥が呆然としていると、今のやり取りを見ていた静理が話し掛けてきた。
「随分と、仲良くなったみたいだね。どうやって手懐けたんだい?」
「そ、そんなんじゃないです……!色々、あって……」