EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「……あ、そうだ小鳥。傷は?もう平気?」

抱き締めていた腕を少しだけ緩めてルカが問う。

小鳥はヴォルフに噛まれた腕の傷を思い出しながら頷いた。

「うん。まだ痕は残ってるけど、もう血は出ないし大丈夫」

「あの時は、勝手に飲んでごめん。本音を言うと俺……すっごく小鳥の血が、飲みたくて……。我慢できなかった」

「えっ……」

「ホント、ごめんね。小鳥に痛いことしたくないから、なるべく我慢するけど……でも、俺がめちゃくちゃ君のこと吸血したいんだってことは……覚えておいて。俺達にとって、好きな子の血を吸いたいっていうのは、どうしようもない本能だから」

ルカは優しい。

ゆえに小鳥が嫌がりそうなことはしない。

けれど、自身の醜い欲望は知っていて欲しいと望む。

我慢しているのだとアピールされた小鳥が、ほんの少しでも、目の前の憐れな吸血鬼に情けを掛けてはくれないだろうかと夢想しながら。

「……いい、よ?」

「へ?」

「ルカくんなら、いいよ?」

夢想は夢想で終わるはずだった。

「えっ……」

言われたことを理解して、ルカの顔がカッと熱くなる。

一瞬にして顔が真っ赤になった彼は、勢い良く小鳥から離れてクルリと後ろを向いた。

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