EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
それから、照れつつも何とか蒸しパンを完食した小鳥。
休憩所の隅っこにあったゴミ箱に紙コップや包みを捨て、二人は席を離れた。
再び広場を歩き、色んな店を見て回る。
人が多いので手を繋ぎながら歩いていると、色鮮やかなペンライトが売られている店の前を通り過ぎた時に、ルカがとある屋台の前で足を止めた。
「あ、珍しい。花が売ってる」
赤、ピンク、オレンジ、白。
沢山の明るい色の花々が屋台を彩っている。
ルカは一番手前にあったピンク色の薔薇にそっと触れた。
「やっぱり。これ、全部普通の花だよね。造花じゃない。こんなに売ってるの珍しいなー。創世祭だからかな?」
「そうだよ、お客さん。年に一度の創世祭だからね。地上から本物の花を仕入れたのさ。お祝いの日くらい造花は無しにしたいじゃないか。なあ?」
ルカの声が聞こえたのか、花屋の店員であろう中年男性が親しげに説明してくれる。
ルカは大きく頷いた。
「そうですね。やっぱり、本物の方が良いです。作った色や香りじゃなくて、地上の自然を感じられる……」
永遠に枯れない花は美しいが、そこに命はない。
ルカは、生き物に似せたロボットを作る時にいつも、その「命」について考える。
自分では決して作り出せないもの。
それは、とても尊いもの。
ルカはチラリと、隣にいる小鳥を見る。
彼女こそ、ルカにとって一番大切な命を持つ存在だ。