EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
「おじさん、赤い薔薇、十一本ください」
「ほい、毎度ありー!」
ルカが注文し、薔薇の花束が出来上がる。
支払いを済ませた後、ルカはその花束を小鳥にスッと差し出した。
「これ、小鳥に。ホントは百八本渡したかったけど、そんなにあったら持ってるの大変だろうから。今は十一本で許して」
「百八本……!?そんなに、いっぱいじゃなくても……」
「あれ、数の意味知らない?」
受け取ってくれた小鳥を見下ろしながら、ルカは恥ずかしそうに小さな声でゴニョゴニョ話す。
「百八は……えっと、プロポーズで……」
周りの雑音がうるさくて聞こえなかった小鳥は、コテンと首を傾げた。
「まあ、その……百八は置いといて……今渡した十一本は、色んな意味があるみたいだけど、俺は父さんから“最愛”って聞いた」
サラッと重たい愛を教えられ、キョトンとする小鳥。
そんな無防備な彼女の唇に、ルカは優しいキスを落とす。
そして、キスで近づいたルカの唇は、小鳥の耳元へ。
「小鳥、愛してる。いつか、俺を……君だけの夫にしてください」
花屋の前で、雑踏の中で、大胆に、けれど密やかに、ルカは愛を告げた。