EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】

「おじさん、赤い薔薇、十一本ください」

「ほい、毎度ありー!」

ルカが注文し、薔薇の花束が出来上がる。

支払いを済ませた後、ルカはその花束を小鳥にスッと差し出した。

「これ、小鳥に。ホントは百八本渡したかったけど、そんなにあったら持ってるの大変だろうから。今は十一本で許して」

「百八本……!?そんなに、いっぱいじゃなくても……」

「あれ、数の意味知らない?」

受け取ってくれた小鳥を見下ろしながら、ルカは恥ずかしそうに小さな声でゴニョゴニョ話す。

「百八は……えっと、プロポーズで……」

周りの雑音がうるさくて聞こえなかった小鳥は、コテンと首を傾げた。

「まあ、その……百八は置いといて……今渡した十一本は、色んな意味があるみたいだけど、俺は父さんから“最愛”って聞いた」

サラッと重たい愛を教えられ、キョトンとする小鳥。

そんな無防備な彼女の唇に、ルカは優しいキスを落とす。

そして、キスで近づいたルカの唇は、小鳥の耳元へ。

「小鳥、愛してる。いつか、俺を……君だけの夫にしてください」

花屋の前で、雑踏の中で、大胆に、けれど密やかに、ルカは愛を告げた。

< 206 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop