EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【ルカ編】
「それじゃあ、愛理、空太、ちょっと出掛けてくるから。ヴォルフお兄ちゃんと一緒に、いい子でお留守番しててね」
「うん!いってらっしゃーい」
愛理が元気に手を振る。
空太はまだ言葉がよくわかっておらず、ヴォルフに手を動かされてバイバイしてくれた。
こうしてヴォルフに後を任せ、家を出る。
家と言ってもクラヴィエ家の屋敷ではなく、ルカの職場に近い一軒家だ。
ルカは現在、ロボット開発の技術者として、家庭用や地下世界の警備用など、日常で使われる様々なロボットを研究開発している。
趣味がそのまま仕事になったので、本人はとても楽しそうだ。
だが、いくら楽しいとはいえ、所詮は仕事。
大好きな奥さんとのデートの方が何十倍も楽しいに決まっている。
「ほら、小鳥。手、握って」
特に道が人で混雑していなくとも、ルカは小鳥と歩く時、必ず手を繋ぐ。
(安心する……)
小鳥は言われた通り、ルカの手をキュッと握った。
そうすれば、ルカがカッコイイ表情を崩し、ふにゃりと微笑む。
そして小鳥に口づけるのだ。
「大好きだよ、小鳥」
初めて会った、あの雪の日の少年と同じ無邪気さで。
何度でも、何度でも……。
【ルカ編 END】
2023/2/23