EGOISTIC狂愛デジャ・ビュ【カロン編】
11
†††
「ねえ、この手錠外して」
「あんたはされてるくらいで丁度いいんじゃね?」
「……外せって言ってんの。キレるよ?」
「ガタガタうるさいですわよ紫音。男なら手錠くらいされてなさい」
「野薔薇さん…ちょっと意味がわかりません…」
病院内の廊下を歩きながら会話する四人。
彼らは電車に乗って再び治安の悪いネオン街へやって来た。
この近辺で刺された蜜莉は道で倒れていたところを通行人に発見され、近くの病院に運ばれたとのこと。
どうして一度帰宅した蜜莉がまたこんな場所を訪れたのかは謎だが、それを問い詰めるよりも枢戯姉弟にとっては蜜莉を刺した相手が誰かという方が重要だった。
どう報復してやろうかと色々考えながら病室前で足を止める。
「蜜莉、入りますわよ?」
ネームプレートに蜜莉の名前が入っている個人用の部屋をノックしてからそっと入室すると、大きな黒い柩に腰掛けている蜜莉の姿があった。
彼の周りには二人の看護婦。
「僕は、もう平気だから……お願いしますっ」
「いけません!安静にしていて下さい!」
「お願い…!行かなくちゃ…いけな――ぐっ!」
立ち上がろうとして蜜莉は痛みに呻いた。