☆ゲット・ビッガー☆
その夜は、俺の6歳の誕生日だった。
医学関係の仕事をしていたお父さんは、仕事帰りでクタクタに疲れていたにもかかわらず、
「せっかくの冬真の誕生日なんだ。
美味しいものでも食べて、お祝いしよう。」
といって、3人で外へ食事に出かけた。
お腹いっぱいになった俺は、お父さんが運転する車の後ろの座席でウトウトしていた。
幸せそうにお母さんと話すお父さんは、赤信号の交差点で車をストップさせた。
「冬真ももう、6歳か~。」
そういったお父さんは、後ろに振り向いて俺に話しかけた。
「冬真。
おまえも立派な男になって、お母さんの事、大切にするんだぞ。」
――― それがお父さんの、最後の言葉だった。
俺が「うん。」と答える間もなく、お母さんの悲鳴とともに、真正面からトラックが衝突した。