☆ゲット・ビッガー☆
「ハイ、ハイ!!」
パンパンと手をたたいて、クレアちゃんは私たちの気を引く。
「それより、なんで日葵ちゃんはココにいるの?」
「そ、そんなの...!」
(自分がやったくせに...)
「そんなの、な~に?」
なにも知らないかのように、ニコニコとして尋ねるクレアちゃん。
こんなに恐ろしい人間がこの世にいたとは、信じられない。
「そんなの、具合悪いからにきまってるじゃん...」
「そうなんだぁ~。
せっかくの体育祭なのに、かわいそう。」
そういってワザと心配そうな顔をしたクレアちゃんの眼は、完全に笑っていた。
「ごめん、もう休みたいから。
冬真君も体育祭、ガンバってね。」
「あ、あぁ。」
「じゃあ、もう邪魔みたいだし。
行こっか、レオ君!!」
そういってクレアちゃんは、冬真君の手をとった。
(あっ...)
「触んな、キモい。」
冬真君は、その手をすぐさま振り払って、保健室から出て行ってしまった。
「ふふっ、カーワイ。」
私はベットに横たわって、クレアちゃんに背を向けた。
そんな私の背後から、クレアちゃんの足音が近づく。
私の右耳にクレアちゃんの唇が近づき、そっと囁いた。
「よくできました、日葵ちゃん。」
その声はまるで呪いのように、私の耳から離れなかった。