☆ゲット・ビッガー☆
(やっと、家に帰れる...)
朝から散々小田桐君に振り回された私は、クタクタの心と体を引きずりながら下駄箱に向かう。
「由夏、委員会か~...」
(こんな日に限って...)
そう、ブツブツとひとりでつぶやきながら、靴を履く。
「日葵。」
「げっ...」
急に後ろから名前を呼ばれ、まさかと思い、振り返る。
「な~んだ、剛か~。
もう、びっくりさせないでよね。」
「誰だと思ったんだよ。」
私は剛のその質問に、がくんっと肩を落とし、ダークなオーラを漂わせる。
「私にその名前を言わせないでおくれ、剛君。
今日は散々な目に合わされて、心も体も、もうクタクタなのだよ。」
「お前らしくねぇな。」
そういった剛は、私に近づき、やさしく額に手を当てる。
「な、なに?!」
私の反応に、さっと我に返った剛は、何だか慌てている。
「い、いや、その...
お、お前が! やけに疲れてそうだから?!
なんか熱でもあんじゃねぇかなーみたいな...///」
そういった剛は、少し顔が赤い。
「私より、剛の方が熱あるんじゃないの?
顔、赤いけど...」
「ね、ねぇよ!
ほら、帰んぞ!!」
そういった剛は、さっさと靴を履いて歩いて行ってしまった。
「ちょ、待ってよー。」
私は急いで履きかけの靴を履き直し、剛を追いかけた。