☆ゲット・ビッガー☆



「剛、どうかしたの?」



「どうもしねぇよ。」




そう答えた剛は、やはり機嫌が悪そうだ。




「いやぁ、絶対、機嫌悪いでしょ~。」




しつこい私にキレたのか、ズカズカと歩いていた剛は急ブレーキをかけ、じっと私をにらむ。




「お前、あいつに振り回されすぎじゃね?」



「あいつって?」




呆れたように、ため息をつく剛。




「あの転校生だよ...。」



「あぁ、小田桐君ね。」



「小田桐...クン?」



「うん。小田桐君。」




しらっと答える私に、さらに機嫌が悪くなる剛。

そんな剛を見て、私は眉間にしわを寄せる。




「なに、どうしたのさー?」



「お前、なんでそいつは「くん」なんだよ。」



「なんでって...」



(そういえば、なんでだろう...)




剛のその言葉に、私はふと考えさせられる。




「そいつってさ...

お前にとって、「特別」なの?」




そういった剛は、どこか悲しげな表情でうつむいた。




< 34 / 208 >

この作品をシェア

pagetop