☆ゲット・ビッガー☆
「剛、どうかしたの?」
「どうもしねぇよ。」
そう答えた剛は、やはり機嫌が悪そうだ。
「いやぁ、絶対、機嫌悪いでしょ~。」
しつこい私にキレたのか、ズカズカと歩いていた剛は急ブレーキをかけ、じっと私をにらむ。
「お前、あいつに振り回されすぎじゃね?」
「あいつって?」
呆れたように、ため息をつく剛。
「あの転校生だよ...。」
「あぁ、小田桐君ね。」
「小田桐...クン?」
「うん。小田桐君。」
しらっと答える私に、さらに機嫌が悪くなる剛。
そんな剛を見て、私は眉間にしわを寄せる。
「なに、どうしたのさー?」
「お前、なんでそいつは「くん」なんだよ。」
「なんでって...」
(そういえば、なんでだろう...)
剛のその言葉に、私はふと考えさせられる。
「そいつってさ...
お前にとって、「特別」なの?」
そういった剛は、どこか悲しげな表情でうつむいた。