☆ゲット・ビッガー☆
結局、朝から小田桐君は、部屋から出てこなかった。
台所で夕食を作っていると、階段を降りる小さな足音がした。
「お腹すいたよ~、
オネエチャン。」
そういいながら台所に入ってきたレオ君姿の小田桐君は、私に後ろから抱きついてくる。
「ひゃっ!」
昨日までなら喜んでニコッと笑った私だが、真実を知った今の私は、何をされても驚いてしまう。
だって彼は、『レオ君』ではなく、『小田桐君』なのだから。
「ちょ、ちょっと、離れてっ!」
私は思わず、レオ君の事を押し出してしまった。
私に突き放されたレオ君は、シュンと悲しそうな顔をして、うつむく。
「おねえちゃん...」
そういってレオ君は、しくしくと泣きだす。
「ご、ゴメン、レオ君!
痛かった?!」
私は慌ててしゃがみこんで、うつむいたレオ君の顔を覗き込む。
「...フフッ。
こんな事で泣くわけねぇだろ。」
泣いたフリをしていたレオ君が、小田桐君らしく笑って顔をあげる。
幼い顔とは似合わない言葉のギャップに、一瞬、ドキッとしてしまう。
(慣れない...)
「...も、もうっ!
小田桐君ったら、また面白がって!!」
ほっぺたを膨らませる私を見た小田桐君は、ハハッと笑う。
「早く慣れろよ、いい加減。
てかお前、騙されやすすぎだろ。」
「なっ?!」