☆ゲット・ビッガー☆



結局、朝から小田桐君は、部屋から出てこなかった。



台所で夕食を作っていると、階段を降りる小さな足音がした。




「お腹すいたよ~、

オネエチャン。」




そういいながら台所に入ってきたレオ君姿の小田桐君は、私に後ろから抱きついてくる。




「ひゃっ!」




昨日までなら喜んでニコッと笑った私だが、真実を知った今の私は、何をされても驚いてしまう。


だって彼は、『レオ君』ではなく、『小田桐君』なのだから。




「ちょ、ちょっと、離れてっ!」




私は思わず、レオ君の事を押し出してしまった。

私に突き放されたレオ君は、シュンと悲しそうな顔をして、うつむく。




「おねえちゃん...」




そういってレオ君は、しくしくと泣きだす。




「ご、ゴメン、レオ君!

痛かった?!」




私は慌ててしゃがみこんで、うつむいたレオ君の顔を覗き込む。




「...フフッ。

こんな事で泣くわけねぇだろ。」




泣いたフリをしていたレオ君が、小田桐君らしく笑って顔をあげる。


幼い顔とは似合わない言葉のギャップに、一瞬、ドキッとしてしまう。




(慣れない...)



「...も、もうっ!

小田桐君ったら、また面白がって!!」




ほっぺたを膨らませる私を見た小田桐君は、ハハッと笑う。




「早く慣れろよ、いい加減。

てかお前、騙されやすすぎだろ。」



「なっ?!」



< 76 / 208 >

この作品をシェア

pagetop