☆ゲット・ビッガー☆
連休最終日に帰ってきた両親には、私もレオ君も何事もなかったかのように振る舞った。
二人とも、家にレオ君が帰っていたことには驚いていたが、私が本当の事を知っていることには、ちっとも気づかなかった。
「そりゃ、そうだよな...」
連休明けの月曜日の朝。
そう小さくつぶやいた私は、いつもよりも重たい玄関のドアを開けた。
「おはよう、日葵ちゃん!」
(やっぱりな...)
私の目の前には、思っていた通りの彼の姿が。
彼の正体を知った今、いつも見ていた小田桐君の制服姿も、なんだか新鮮に思える。
「なんでいるの?」
「なんでって、いつも通り?」
そういって、いつもの爽やかスマイルでニコッと笑う小田桐君。
ちょっと前の私だったら、きっとこの笑顔にイチコロだっただろう。
「はぁ~...」
「なんだよ、そのため息は。」
「だって、小田桐君のキャラ、コロコロ変わるんだもん。
さすがの私でも、疲れるときぐらいあります~。」
そう、ぼやきながら、私は胸ポケットにしまっておいたメガネを装着する。
「...ま。」
「えっ?」
小田桐君のつぶやきに、私は顔を上げた。
私のおでこに、ピンッと小さな衝撃が走る。