☆ゲット・ビッガー☆
突然、柔らかく温かな感触が、私の耳にそっと、落とされた。
電気の走るような衝撃が、私の体中、指先にまでも流れ出す。
――― チュッ
そっと離れていく唇の音が、私のやかましい心臓の音と、混ざり合い、響き渡る。
耳に残る彼の唇の感触を、焼き付けるかのように、私の体がさらに熱を増す。
「...お前、大丈夫かよ。
すげぇ、おもしれぇ顔してんぞ。」
そんな小田桐君の声も、もう私には聞こえなかった。
(...キス、だよね?)
「...やりすぎたか、俺。
日葵? おい、日葵!!」
「は、はいっ!! ///// 」
心配そうに私を覗き込む小田桐君の顔が、目に映る。
そんな私の反応に、嬉しそうにニヤける小田桐君。
「お前、最高だな。」
「っ...///
なっ、なんてことするんですか! もうっ!!
このっ...ワガママ!!」
「は、はぁ? なんで、ワガママ?
そこは、「バカっ」とかじゃねぇの?」
「もうっ...じゃあ、バカっ!!」
どうしていいか分からず、私はその場から逃げ出そうとする。
「おいっ! なんで家ン中戻るんだよ。
今から学校、行くんだろーが。」
「あっ...」
(ゲッ、そうだった...)
「ほら、行くぞ。」
そういって、私の手をとって歩き出す小田桐君。
今の私には、もう、抵抗なんてできなかった。
(こんな事、平気でするなんて...)
「心臓、爆発しちゃうよ...」
そうつぶやいた私には、これから自分がどうなってしまうのか、もう想像なんてつかないのだった。