☆ゲット・ビッガー☆


(...えっ?

聞こえなかったの??)




私が呼んでも、爽やかな笑顔のままの小田桐君は、ビクともしない。




「あの~、小田桐君?」




もう一度呼んでみたが、やはり動かない。




(まさか、目開けたまんま寝てる...とか?)




私が一歩、二歩と少しずつ小田桐君に近づいていた時、教室の扉がガラッと開いた。




「あっ、いたいた!よかった~。

冬真君、先生が後で職員室に来いって。」



「うん。ありがとう。」



「ううん、どういたしまして!///」




そういって少し赤くなったクラスメイトの女子が、小田桐君にそう用事だけ伝えて去っていった。




「...てか、起きてるじゃん!」



「あたりめぇだろ。」



「じゃあ、なんで私が呼んでも返事しないの?」



「え~。

俺、呼ばれてないけどー。」




そういった小田桐君は、知りませんとでもいうかのような顔で、首を傾げたフリをする。




「呼んだもん!

『小田桐君』って、二回も!!」



「だから、呼ばれてないって。」



「だから、呼んだってば!」



「なんて?」



「だから『小田桐君』って...」




その時、私はふと、さっきの女子を思い出した。






< 82 / 208 >

この作品をシェア

pagetop