☆ゲット・ビッガー☆
(...えっ?
聞こえなかったの??)
私が呼んでも、爽やかな笑顔のままの小田桐君は、ビクともしない。
「あの~、小田桐君?」
もう一度呼んでみたが、やはり動かない。
(まさか、目開けたまんま寝てる...とか?)
私が一歩、二歩と少しずつ小田桐君に近づいていた時、教室の扉がガラッと開いた。
「あっ、いたいた!よかった~。
冬真君、先生が後で職員室に来いって。」
「うん。ありがとう。」
「ううん、どういたしまして!///」
そういって少し赤くなったクラスメイトの女子が、小田桐君にそう用事だけ伝えて去っていった。
「...てか、起きてるじゃん!」
「あたりめぇだろ。」
「じゃあ、なんで私が呼んでも返事しないの?」
「え~。
俺、呼ばれてないけどー。」
そういった小田桐君は、知りませんとでもいうかのような顔で、首を傾げたフリをする。
「呼んだもん!
『小田桐君』って、二回も!!」
「だから、呼ばれてないって。」
「だから、呼んだってば!」
「なんて?」
「だから『小田桐君』って...」
その時、私はふと、さっきの女子を思い出した。