☆ゲット・ビッガー☆
(『冬真君、先生が後で職員室に来いって。』
『冬真君、先生が後で...』
『冬真君、先生...』
『冬真君、』
冬真君、とうまくん、トウマクン...
はっは~ん、なるほど。そういうことね...)
一つ小さく咳ばらいをした私は、後ろに手を組んで小田桐君に歩み寄る。
「とーうまクンっ。
黒板の文字が高くて消せないんだけど、消してくれるかな~?」
幼稚園児のように呼ばれた冬真君は、フッと笑って、私のほほに手を添える。
「いいよ、日葵。」
「...///」
そういって冬真君は、黒板消しをサッと手に取り、さっさと消した。
(な~んだ。
チョロい、チョロい。)
心の中でフッフンと鼻で笑った私に、黒板を消し終えた冬真君がフフッと笑う。
「...てかさ、」
「ん?」
背中で黒板にもたれかかった冬真君は、腕を組んで私を見つめ、ニヤッと笑った。
「てかさ、こんなの、イス持ってきて消せぇあいいじゃん。
日葵って、ちょっと『バカ』なんだな。」
「ば、か...
ば、バカ~?!」
(だ、誰に気ぃ使ってやったと思ってるの?!
それなのに、バカですとぉ~?!)
脳内でキィーキィーわめく私に、フッと鼻で笑った冬真君は、自分の席に座って足を組む。
「消してやったんだから、黒板消しぐらいキレイにしとけよ。
日葵。」
(ムム、ム、ムカ~!!)
さらにムカついた私は、頭からプンプンと煙を出しながら、黒板消しを手に取った。