☆ゲット・ビッガー☆



(『冬真君、先生が後で職員室に来いって。』

『冬真君、先生が後で...』

『冬真君、先生...』

『冬真君、』


冬真君、とうまくん、トウマクン...


はっは~ん、なるほど。そういうことね...)




一つ小さく咳ばらいをした私は、後ろに手を組んで小田桐君に歩み寄る。




「とーうまクンっ。

黒板の文字が高くて消せないんだけど、消してくれるかな~?」




幼稚園児のように呼ばれた冬真君は、フッと笑って、私のほほに手を添える。




「いいよ、日葵。」



「...///」




そういって冬真君は、黒板消しをサッと手に取り、さっさと消した。




(な~んだ。

チョロい、チョロい。)




心の中でフッフンと鼻で笑った私に、黒板を消し終えた冬真君がフフッと笑う。




「...てかさ、」



「ん?」




背中で黒板にもたれかかった冬真君は、腕を組んで私を見つめ、ニヤッと笑った。




「てかさ、こんなの、イス持ってきて消せぇあいいじゃん。

日葵って、ちょっと『バカ』なんだな。」



「ば、か...

ば、バカ~?!」




(だ、誰に気ぃ使ってやったと思ってるの?!

それなのに、バカですとぉ~?!)




脳内でキィーキィーわめく私に、フッと鼻で笑った冬真君は、自分の席に座って足を組む。




「消してやったんだから、黒板消しぐらいキレイにしとけよ。
日葵。」



(ムム、ム、ムカ~!!)




さらにムカついた私は、頭からプンプンと煙を出しながら、黒板消しを手に取った。





< 83 / 208 >

この作品をシェア

pagetop