ある王国の物語。『白銀の騎士と王女 』
18話、散歩
いたたまれないまま、アレン特製スープを完食した ちょうどその時、来訪者を告げる為ナシルがエルティーナに声をかけた。
「エルティーナ様…」
「?? 何かしら、ナシル」
エルティーナがナシルに用件を聞くため、ナシルが入ってきたドアの方に顔を向けた時。
間髪入れずに部屋に乱入してきたのは、王太子レオンだった。
「やぁ! エル!! …となんでアレンがここにいる…。ここは、エルのプライベートスペースだぞ」
「レオン。兄といえど、エルティーナ様のプライベートスペースに案内なして、無断に入ってくるのは無作法だと思うが」
公式の場では、二人はきっちり互いの関係性を理解し、アレン・メルタージュ。レオン・ボルタージュ殿下。とフルネームで距離を置いた呼び方、そして話し方をする。
だが、もともと互いに身分を隠し、騎士見習いとして騎士団寮で共に過ごした後、元の身分に戻る前、アレンがエルティーナの護衛騎士に抜擢された。
レオンも、まさかアレンが宰相メルタージュ侯爵の息子だとは思わず、アレンをエルティーナの護衛騎士に推薦したのだった。
アレンがエルティーナの護衛をする事になった為、普通あるべき主従ではなく昔からの友人といった感じになっていた。
両者色々思う事はあるが…。
しかし、突然入ってきた兄にも、プライベートスペースにアレンが居る事の不思議が、まったくわかっていないエルティーナは、会話の意図する内容がよく分からない。
それよりも…。
(「…はぁ〜あぁぁぁぁん。美しいわ〜なんて素敵なのかしら〜ぅふんぅぅぅ」)
「………エル…………拝むな………」
「………………………」
「…はっ! ごめんなさい……。無意識なの。悪気はないのよ。アレンとお兄様が並ぶとあまりに神々しくて、拝まずにはいられないのよ!! 眼福ものなのよ!! ほら、キーナ達も拝んでるわっ」
「………」
「………」
なんとも言えない表情のレオンとアレンを見て、嫌がられているんだとエルティーナの肩が落ちる。
「…えっと、嫌…なのよね…。ごめんなさい。アレンとお兄様のお姿は、私の中で別格で、特別で、本当に大好きだから……」
「エルティーナ様がされたいのであれば、拝むなりなんなりと、是非。私は全く気になりません」
「…おいっ!!」
基本がエルティーナ中心の考えであるアレンのあまりの変わり身の早さに、レオンは突っ込まずにはいられなかった。
「…いいの? …嫌じゃないの?」
「はい、嫌ではございません。むしろ光栄です。エルティーナ様の好む見た目で良かったです」
優しく柔らかく、微笑むアレン。
エルティーナもとても嬉しくて、アレンに可愛く微笑んだ。
はじまった二人の世界…。
「……おい…二人の世界に入るな……。エル、今日は一緒に王都に降りてみないか? 一日、体があいたんだ」
「まあ!!! 本当ですか!? 素敵!! お兄様とご一緒できるなんて、いつ以来かしら!!! 感動だわ!!!」
「あぁ…いつ以来か、分からないぐらいだな。馬車じゃなく、騎乗で行かないか? 今日は天気もいい。風をきるのは気持ちいいぞ」
「うそぉ!!! お兄様の馬に乗せていただけるの!? 行くわ、行く!! 絶対、行くわ!!!」
「エルティーナ様、私もお供いたします」
「えっ!? ……アレンも…一緒に行ってくれるの…?」
「もちろんです。エルティーナ様の護衛騎士は、私ですので。
後、ついでにレオンの護衛も兼ねてです。それと…レオンの馬もなかなかの軍馬ですが、私の馬は軍馬でも気性が荒くなく穏やかですので、エルティーナ様は私と相乗り致しましょう」
「ぅおいっ!!! アレン!!!」
「いゃぁっっったぁっ!!! 凄いわ! 本当に!? わぁ!! 夢みたいだわっ!!!
早く、早く、着替えないと!!! 待っていらして!!! ナシル、ナシル、早く、来て!! ! 早く!!」
急かすエルティーナに、笑いを堪えながらナシルはすぐに動く。
「エルティーナ様、お待ちくださいませ!!」必死に後を追う侍女達。
凄い勢いで、衣装部屋に突入していったエルティーナが何故か戻ってきた。
「…どうされましたか?」アレンがエルティーナに優しく促す。
「アレン…あの…ね…スープ、ありがとう!!!」
屈託のない笑顔はエルティーナらしい。可愛らしい唇から小さな歯が見える。
エルティーナの仕ぐさ一つ一つが、アレンの身体を癒していく…。
アレンは先ほどの、スプーンの一件を思い出して、もう一度恍惚と浸るのだった。
「エルティーナ様…」
「?? 何かしら、ナシル」
エルティーナがナシルに用件を聞くため、ナシルが入ってきたドアの方に顔を向けた時。
間髪入れずに部屋に乱入してきたのは、王太子レオンだった。
「やぁ! エル!! …となんでアレンがここにいる…。ここは、エルのプライベートスペースだぞ」
「レオン。兄といえど、エルティーナ様のプライベートスペースに案内なして、無断に入ってくるのは無作法だと思うが」
公式の場では、二人はきっちり互いの関係性を理解し、アレン・メルタージュ。レオン・ボルタージュ殿下。とフルネームで距離を置いた呼び方、そして話し方をする。
だが、もともと互いに身分を隠し、騎士見習いとして騎士団寮で共に過ごした後、元の身分に戻る前、アレンがエルティーナの護衛騎士に抜擢された。
レオンも、まさかアレンが宰相メルタージュ侯爵の息子だとは思わず、アレンをエルティーナの護衛騎士に推薦したのだった。
アレンがエルティーナの護衛をする事になった為、普通あるべき主従ではなく昔からの友人といった感じになっていた。
両者色々思う事はあるが…。
しかし、突然入ってきた兄にも、プライベートスペースにアレンが居る事の不思議が、まったくわかっていないエルティーナは、会話の意図する内容がよく分からない。
それよりも…。
(「…はぁ〜あぁぁぁぁん。美しいわ〜なんて素敵なのかしら〜ぅふんぅぅぅ」)
「………エル…………拝むな………」
「………………………」
「…はっ! ごめんなさい……。無意識なの。悪気はないのよ。アレンとお兄様が並ぶとあまりに神々しくて、拝まずにはいられないのよ!! 眼福ものなのよ!! ほら、キーナ達も拝んでるわっ」
「………」
「………」
なんとも言えない表情のレオンとアレンを見て、嫌がられているんだとエルティーナの肩が落ちる。
「…えっと、嫌…なのよね…。ごめんなさい。アレンとお兄様のお姿は、私の中で別格で、特別で、本当に大好きだから……」
「エルティーナ様がされたいのであれば、拝むなりなんなりと、是非。私は全く気になりません」
「…おいっ!!」
基本がエルティーナ中心の考えであるアレンのあまりの変わり身の早さに、レオンは突っ込まずにはいられなかった。
「…いいの? …嫌じゃないの?」
「はい、嫌ではございません。むしろ光栄です。エルティーナ様の好む見た目で良かったです」
優しく柔らかく、微笑むアレン。
エルティーナもとても嬉しくて、アレンに可愛く微笑んだ。
はじまった二人の世界…。
「……おい…二人の世界に入るな……。エル、今日は一緒に王都に降りてみないか? 一日、体があいたんだ」
「まあ!!! 本当ですか!? 素敵!! お兄様とご一緒できるなんて、いつ以来かしら!!! 感動だわ!!!」
「あぁ…いつ以来か、分からないぐらいだな。馬車じゃなく、騎乗で行かないか? 今日は天気もいい。風をきるのは気持ちいいぞ」
「うそぉ!!! お兄様の馬に乗せていただけるの!? 行くわ、行く!! 絶対、行くわ!!!」
「エルティーナ様、私もお供いたします」
「えっ!? ……アレンも…一緒に行ってくれるの…?」
「もちろんです。エルティーナ様の護衛騎士は、私ですので。
後、ついでにレオンの護衛も兼ねてです。それと…レオンの馬もなかなかの軍馬ですが、私の馬は軍馬でも気性が荒くなく穏やかですので、エルティーナ様は私と相乗り致しましょう」
「ぅおいっ!!! アレン!!!」
「いゃぁっっったぁっ!!! 凄いわ! 本当に!? わぁ!! 夢みたいだわっ!!!
早く、早く、着替えないと!!! 待っていらして!!! ナシル、ナシル、早く、来て!! ! 早く!!」
急かすエルティーナに、笑いを堪えながらナシルはすぐに動く。
「エルティーナ様、お待ちくださいませ!!」必死に後を追う侍女達。
凄い勢いで、衣装部屋に突入していったエルティーナが何故か戻ってきた。
「…どうされましたか?」アレンがエルティーナに優しく促す。
「アレン…あの…ね…スープ、ありがとう!!!」
屈託のない笑顔はエルティーナらしい。可愛らしい唇から小さな歯が見える。
エルティーナの仕ぐさ一つ一つが、アレンの身体を癒していく…。
アレンは先ほどの、スプーンの一件を思い出して、もう一度恍惚と浸るのだった。