ある王国の物語。『白銀の騎士と王女 』
「さあ!! 報告は終了したし、エルティーナを愛でに行こう!!」
真面目な話をしていても、マドック公爵は忘れてなかった。
「はんっ。行って嫌われてこい。エルはな、性的な目で見たり話すやつには、とことん拒否するからな。マドックも嫌われてこい」
軽い口調で、国王ダルタは話す。
「ダルタよ。そういうのは口に出したらアウトなんだよ、お前みたいに。
さりげなく分からないくらいに手懐けるのだよ。『マドック様! 』って向こうから抱きついてくるのがベスト。ダルタは脳まで筋肉だから駄目なんだよ」
マドック公爵と国王ダルタの会話を聞いて、アレンは静かに礼をして退出する、気配を消して。
それにいち早く気づいたマドックは、アレンを呼び止める。
「アレン、私と一緒にいくように。君と行かなくとも行く方法は色々ある。エルティーナに媚薬を使っても構わないんだよ? 別に純潔を散らさなくとも、遊ぶ方法は色々ある。あの胸は色々使えるし、穢れをしらない若くみずみずしいエルティーナの身体は格別だろうね。うん、うん。で、どうする?」
アレンの雰囲気が一気に変わる。もう冗談ですまなくなってきたが、神の一言が入ってくる。
「マドック止めろ。エルには会うな。命令だ。アレン、退出しろ」
室内にダルタの重低音の声が響く。アレンは無言でダルタに礼をし部屋を出ていった。
「………マドック、殺されたいのか?? 言っておくが、アレンはエルの騎士。彼女を害する者は斬って捨てる旨の了承をわしから奪いとっている。読み返したくもない恐ろしい文面に、生々しい血判付きで。
お前の言動を行動にうつしてみろ、一切躊躇せず、アレンはお前の頭と胴体を離すぞ」
「何、怖いもの見たさだよ。でも…本当に恐かったよ。まだ心臓が痛いからね…老体にはキツイ」
どこまで冗談なのか、手を額におき大袈裟に頭を振っている。
「マドック公爵、貴方の事は大変尊敬しております。ですが、私も先ほどの言い回しは冗談では片付けられませんので。アレンの態度の謝罪は致しません」
クインはアレンの気持ちも覚悟も知っているからこそ、マドック公爵の発言を絶対に許せなかった。
「メルタージュ宰相、私が悪かった。そう怒るな。あまり良くない冗談だったな。エルティーナの降嫁の件を聞いてな。何故、相手がアレンではないのかが不思議で、カマをかけたまで。
あれほど愛していても、一緒になれない理由が彼にはあるのか?? メルタージュ宰相」
マドックの態度は真剣そのもので、さっきまでの冗談が嘘のようであった。
「……だんまりか。まぁいい。私も帰るよ。調べがあがり次第、鳥を飛ばす。ではな」
マドック公爵が政務室をでて、なんとも言えない空気が漂う。
「陛下、申し訳ございません」頭を下げるクインにダルタは首を横にふる。
「いや、いい……」
レオンとキャットも退出する。二人とも色々な感情が入り混じっており、どうしたら良いか分からないでいた。
政務室から遠く離れたエルティーナの自室。まさか、自分が題材になり政務室内が険悪なムードになっているとは露知らず。平和に悶々 過ごしていた。
それは夜の帳まで続き、エルティーナの不満は最高潮に達していた。
「エルティーナ様、なんて顔をされているのですか」ナシルは呆れながらエルティーナを注意する。
「夕方にアレンは来るって言ったわよね? 今はもう夜よ。何で来ないの?」
「私に聞かれましても……」
ぶーたれた顔をエルティーナはしているが、そうでもしないと泣いてしまいそうだからだ。
今朝の事を嫌がられているのかしら…。ラズラ様が意地悪を言われるから……きっと気持ち悪く思われたんだわ。本当の事だから、言い訳できないけど……。
グラハの間では、意地悪されたし…。口は災いの元って言われた……。アレンは意地悪のつもりでした事だろうけど。あれは、意地悪された気がしないわ……。
むしろトキメクのよ……。倒れちゃったし私。変態の烙印がもう一つ押されたのね。うぅぅぅぅ………………
だってね、ぺろって舐められたのよー!
それから チュッってキスされたのよー!
アレンは嫌味もなんであんなに甘ったるいのかしら。アレンにかかれば、きっと落とせない女なんていないでしょうね。羨ましいぞ。選り取り見取りだわ!!!
心の中で叫んでみて、落ち着いたエルティーナは冷静になる。
(「もう、寝よ。来ないのは仕方ないし」)
「ナシル、私もう寝るわ。明日はラズラ様とフルールお姉様とのお茶会があるから…。おやすみなさい」
「は!? エルティーナ様、寝るのには早いのでは?」
「いいの。おやすみなさい」
「……寝る子は育つというけど、エルティーナ様は寝すぎですよ」
遠くにナシルの失礼な言葉が聞こえるけど、無視をしてベッドに潜り込む。頭までシーツを引き上げ丸まった。
暗闇の中は、何故かとても冷静になれる。
「アレンの事、もっと早く解放してあげた方がいいかな…」
自分から発せられた小さな声が泣きそうだった。
「もしかしたら「嬉しいです。ありがとうございます!!」って抱きしめてくれるかもっ!! 満面の笑みで!!!………全く想像できないけど」
気分を上げる為に素敵な妄想をするが全く思い描けなく撃沈。
「アレンの喜んでいる顔がみたいしね!!」
それでも優しく笑う大好きな人の顔を思い出し、自分に喝をいれた。
「建国記念日の前とかがいいかしら? だったら、恋人とお祭り回れるしね。
じゃあ、あと二ヶ月くらいか………一生会えないわけじゃないし…しょうがないけど……」
冷静に考えて、また落ち込んでしまう。
「寂しいな……」
勝手に涙が溢れてくる。どうしようもならないけど…それが辛くて……。
……スンッ………。
「アレン、大好き……違……う…、愛して…る……わ……」
エルティーナは、ゆっくりと深く眠りにつく。この世で一番愛している、アレンの事を想いながら……。
真面目な話をしていても、マドック公爵は忘れてなかった。
「はんっ。行って嫌われてこい。エルはな、性的な目で見たり話すやつには、とことん拒否するからな。マドックも嫌われてこい」
軽い口調で、国王ダルタは話す。
「ダルタよ。そういうのは口に出したらアウトなんだよ、お前みたいに。
さりげなく分からないくらいに手懐けるのだよ。『マドック様! 』って向こうから抱きついてくるのがベスト。ダルタは脳まで筋肉だから駄目なんだよ」
マドック公爵と国王ダルタの会話を聞いて、アレンは静かに礼をして退出する、気配を消して。
それにいち早く気づいたマドックは、アレンを呼び止める。
「アレン、私と一緒にいくように。君と行かなくとも行く方法は色々ある。エルティーナに媚薬を使っても構わないんだよ? 別に純潔を散らさなくとも、遊ぶ方法は色々ある。あの胸は色々使えるし、穢れをしらない若くみずみずしいエルティーナの身体は格別だろうね。うん、うん。で、どうする?」
アレンの雰囲気が一気に変わる。もう冗談ですまなくなってきたが、神の一言が入ってくる。
「マドック止めろ。エルには会うな。命令だ。アレン、退出しろ」
室内にダルタの重低音の声が響く。アレンは無言でダルタに礼をし部屋を出ていった。
「………マドック、殺されたいのか?? 言っておくが、アレンはエルの騎士。彼女を害する者は斬って捨てる旨の了承をわしから奪いとっている。読み返したくもない恐ろしい文面に、生々しい血判付きで。
お前の言動を行動にうつしてみろ、一切躊躇せず、アレンはお前の頭と胴体を離すぞ」
「何、怖いもの見たさだよ。でも…本当に恐かったよ。まだ心臓が痛いからね…老体にはキツイ」
どこまで冗談なのか、手を額におき大袈裟に頭を振っている。
「マドック公爵、貴方の事は大変尊敬しております。ですが、私も先ほどの言い回しは冗談では片付けられませんので。アレンの態度の謝罪は致しません」
クインはアレンの気持ちも覚悟も知っているからこそ、マドック公爵の発言を絶対に許せなかった。
「メルタージュ宰相、私が悪かった。そう怒るな。あまり良くない冗談だったな。エルティーナの降嫁の件を聞いてな。何故、相手がアレンではないのかが不思議で、カマをかけたまで。
あれほど愛していても、一緒になれない理由が彼にはあるのか?? メルタージュ宰相」
マドックの態度は真剣そのもので、さっきまでの冗談が嘘のようであった。
「……だんまりか。まぁいい。私も帰るよ。調べがあがり次第、鳥を飛ばす。ではな」
マドック公爵が政務室をでて、なんとも言えない空気が漂う。
「陛下、申し訳ございません」頭を下げるクインにダルタは首を横にふる。
「いや、いい……」
レオンとキャットも退出する。二人とも色々な感情が入り混じっており、どうしたら良いか分からないでいた。
政務室から遠く離れたエルティーナの自室。まさか、自分が題材になり政務室内が険悪なムードになっているとは露知らず。平和に悶々 過ごしていた。
それは夜の帳まで続き、エルティーナの不満は最高潮に達していた。
「エルティーナ様、なんて顔をされているのですか」ナシルは呆れながらエルティーナを注意する。
「夕方にアレンは来るって言ったわよね? 今はもう夜よ。何で来ないの?」
「私に聞かれましても……」
ぶーたれた顔をエルティーナはしているが、そうでもしないと泣いてしまいそうだからだ。
今朝の事を嫌がられているのかしら…。ラズラ様が意地悪を言われるから……きっと気持ち悪く思われたんだわ。本当の事だから、言い訳できないけど……。
グラハの間では、意地悪されたし…。口は災いの元って言われた……。アレンは意地悪のつもりでした事だろうけど。あれは、意地悪された気がしないわ……。
むしろトキメクのよ……。倒れちゃったし私。変態の烙印がもう一つ押されたのね。うぅぅぅぅ………………
だってね、ぺろって舐められたのよー!
それから チュッってキスされたのよー!
アレンは嫌味もなんであんなに甘ったるいのかしら。アレンにかかれば、きっと落とせない女なんていないでしょうね。羨ましいぞ。選り取り見取りだわ!!!
心の中で叫んでみて、落ち着いたエルティーナは冷静になる。
(「もう、寝よ。来ないのは仕方ないし」)
「ナシル、私もう寝るわ。明日はラズラ様とフルールお姉様とのお茶会があるから…。おやすみなさい」
「は!? エルティーナ様、寝るのには早いのでは?」
「いいの。おやすみなさい」
「……寝る子は育つというけど、エルティーナ様は寝すぎですよ」
遠くにナシルの失礼な言葉が聞こえるけど、無視をしてベッドに潜り込む。頭までシーツを引き上げ丸まった。
暗闇の中は、何故かとても冷静になれる。
「アレンの事、もっと早く解放してあげた方がいいかな…」
自分から発せられた小さな声が泣きそうだった。
「もしかしたら「嬉しいです。ありがとうございます!!」って抱きしめてくれるかもっ!! 満面の笑みで!!!………全く想像できないけど」
気分を上げる為に素敵な妄想をするが全く思い描けなく撃沈。
「アレンの喜んでいる顔がみたいしね!!」
それでも優しく笑う大好きな人の顔を思い出し、自分に喝をいれた。
「建国記念日の前とかがいいかしら? だったら、恋人とお祭り回れるしね。
じゃあ、あと二ヶ月くらいか………一生会えないわけじゃないし…しょうがないけど……」
冷静に考えて、また落ち込んでしまう。
「寂しいな……」
勝手に涙が溢れてくる。どうしようもならないけど…それが辛くて……。
……スンッ………。
「アレン、大好き……違……う…、愛して…る……わ……」
エルティーナは、ゆっくりと深く眠りにつく。この世で一番愛している、アレンの事を想いながら……。